洋画を字幕なしで見たいけど、どれぐらいの英語力が必要?聞き取れるようにするには何をしたらいいかな......。
そんな疑問にお答えします。
結論から言うと、映画のセリフを「字幕なし」で聞き取るのに必要な英語レベルの明確な指標はありません。
どういうことかと言うと、TOEICやTOEFLのリスニングで満点をとったからと言って、完璧に聞き取れるわけではないということです。
ポイント
テストスコアはあくまでも英語力の目安であって、生の英語を聞き取るレベルを測っているわけではない。
テストで高得点が取れるぐらいの英語力(TOEIC700点以上)があることが望ましいのは事実です。ただ、それだけでは不十分。
洋画を字幕なしで楽しみたいのであれば地道な学習が必要です!聞き取れない原因を深堀りして、その原因にあったリスニング対策をすることが大切です。
本記事では、セリフを聞き取れない3つの原因とその対策をご紹介します。
本記事のポイント
・映画のセリフを聞き取るのに必要な英語力はテストでは測れない
・セリフを聞き取れない3つの原因とその対策とは?
洋画を字幕なしで理解できる英語のレベルとは?
TOEIC900点以上でも映画のセリフは完璧に聞き取れない
タイトルを見て「え?」となったと思いますが、ぶっちゃけTOEIC900点以上でも映画のセリフを一語一句聞き取ることはできません。
これが現実です。まずは、現実を受け止めましょう。
え......。TOEICのリスニングで高得点を取れていれば映画のセリフでも余裕で聞き取れると思ってた......。
私のTOEICのListeningスコアは満点だけど、映画によっては聞き取れないセリフって結構ある......。
TOEICやTOEFLで高得点を取れているからといって、字幕なしで完璧に聞き取れるわけではありません。
個人差がある話なので、TOEICで高得点の人で何の問題もなくセリフを聞き取れる人もいると思いますが、多くの人はそうではないでしょう。
それがなぜなのか、解説します。
リスニングテストのスコアには"真のリスニング力"が反映されていない
TOEICリスニングテストのスコアとリスニング力がイコールの関係ではない理由。
それは、リスニングテストのスコアには"真のリスニング力"が反映されていないからです。
そもそもリスニングテストでは、登場人物は
- モゴモゴ喋らない
- 癖(+なまり)がない
- スラングを使わない
ですよね。
音声がクリアで聞きとりやすいです。
一方、映画のセリフは出演している俳優さんの喋り方や演じているキャラクターに大きく影響されて、総じて聞き取りにくいです。
スラングもいっぱい出てくるし、話すスピードも速い!テストと比べると、聞き取りにくいね......。
冒頭で「リスニングテストのスコアには"真のリスニング力"が反映されていない」と書きましたが、サッカー選手の実力を例にとって解説します。
リスニングテストの会話が「整地された人工芝」であれば、映画のセリフは「整地されていない凸凹の天然芝」です。
「整地された人工芝(リスニングテスト)」で高得点を取れたからと言って、その人に真に「得点力(リスニング力)」があるとは言えないですよね。
どんな状況でも力を発揮できて初めて力があると言えます。リスニング力も同じです。
とはいえ、TOEICやTOEFLで高得点を取れていれば、映画の内容についていくだけの実力はあると思っていいと思います。
TOEIC700点ぐらいなら会話の流れを理解できるレベルかな!900点ぐらいはどんなイメージ?
目安を示すと、
英語レベルの目安
TOEIC900点以上は「ところどころ聞き取れないところがあるけれど、字幕があるとスッキリする」そんなレベル。
聞き取れないセリフはところどころあるけど、話の流れは問題なく理解できるレベルだね。
そこからさらにレベルアップしてネイティブ並みに聞き取れるようになると、字幕なしで洋画を観られる日もそう遠くありません。
ここからは、ネイティブ並みに聞き取ることができない原因を探っていきましょう。
なぜセリフを聞き取れないの?原因はこの3つ!
当たり前ですが、出てくる単語や表現を知らなければセリフを聞き取ることはできません。
「じゃあ、単語とかイディオムをたくさん覚えたらいいじゃん!」となりそうですが、一旦そこでストップです。
中級者の「単語が聞き取れない」の原因を深堀りすると、3つのパターンが見えてくるよ。
セリフを聞き取れない3つの理由
- 単語の意味は知っているけれど、音が聞きとれない
- "音"は聞きとれるけれど、単語の意味を知らない
- 単語の意味を知らず、音も聞きとれない
一つずつ深掘りしていきましょう。
1. 単語の意味は知っているけれど、音が聞き取れない
この中で一番厄介なのは「単語は知っているけれど、音が聞き取れない」です。
さらにこれを噛み砕いていくと2つの要因が見えてきます。
そもそも誤った発音で単語を認識している
1つ目の要因は誤った発音で単語を認識しているということ。発音と単語を同時に学んでいないときに誤認識が起きます。
例えば、"energy"を「エネルギー」だと勘違いしていると聞き取れないよね。ちなみに、正しくは「エナジー」。
和製英語でよくみられることだと思います。
ここで大事になってくるのが、どの単語の音が聞き取れないのか把握して正しい発音を覚えることです。
なぜなら、何を間違えて覚えているのか分からないと改善のしようがないからです。間違いに気づくことが改善の近道です。
そこで、私が実践している発音の矯正方法をご紹介します!
発音矯正の方法
私は5分ぐらいの短い動画を*シャドーイングしながら正しい音を聞き取る訓練をしています。
シャドーイングをする前に事前にスクリプトを読んでみて実際の音声との違いがないか確認しましょう。
ちなみに、動画のジャンルは何でもOK。スクリプトまたは字幕がある動画だとさらにいいです。
おすすめは、BBCが提供している"6 minute English"です。記事の中のやり方を参考にしてみてください。
"音"は聞き取れとれるけれど、単語を知らない
そして2つ目の要因は、知っている単語でも「リンキング(リエゾン)」で知らない音に聞こえているから。
リンキング(リエゾン)とは?
単語と単語の発音が繋がって、1つの単語のように聞こえること。音が脱落したり、2つの音が繋がって新たな音になることも。
具体的には、
- リンキング(連結): 2つの音が繋がる
- リダクション(脱落): 音が省略される
- アシミレーション(同化): 2つの音が繋がって新しい音が生まれる
厳密に言うと、リンキングには上記の3種類があって、1つの文章でいくつかが同時に使われることもあります。
リンキングは単純に音を短くできるのでネイティブの会話の中で多用されがちなんですが、英語学習者にとっては厄介なんですよね。
それはなんで?リンキングされると、本来の音が聞こえなくなるから?
まさにその通り。文字通り読めなくなるから、急に聞き取れなくなるんだよね!
例えば、"Tell us about yourself"(自己紹介をお願いします)を例にとると、
◯ テラス アバウトゥ ユゥアセルフゥ
✕ テルアス アバウトゥ ユゥアセルフゥ
英語学習者ならともかく、ネイティブ同士であれば音節を区切って「テル アス」と言うことは少ないでしょう。
実は、上記のようにtellの"l(エル)"とusの"母音"が続くとリンキングできるというルールや型はあったりしますが、一つずつ覚えるのは正直面倒ですし骨が折れます。
そこでおすすめするのが、発音矯正と同じように、
映画や動画で聞き取れなかった部分を字幕付きで確認して耳でリンキングを学ぶ方法
字幕をつけることで、実際の音と文字通りの音の違いを確認できます。何度も繰り返し聞くことが大切です。
そうやって訓練していくうちに、どんなときにリンキングが起きているのか分かってくるはずです。
2. "音"は聞きとれるけれど、単語の意味を知らない
セリフを聞きとれない2つ目の理由は「"音"は聞きとれるけれど、単語の意味を知らない」から。
音を聞きとれている状態であれば、あとは単純に単語の意味を肉付けしていくだけです。
骨の折れる作業だけど、地道に意味を覚えていくことが大事って聞くよね!
音と単語の意味が一致していけばセリフが聞き取りやすくなるはずです。
意味を理解することで、「あれ、なんていう意味だったっけ?」とセリフを理解するのに一時停止する必要がなくなって、セリフがすんなりと頭に入るようになります。
3. 単語の意味を知らず、音も聞きとれない
セリフを聞き取れない3つ目の理由は「単語の意味を知らず、音も聞きとれない」から。
語彙力(ボキャブラリー)が不足していることが主な原因です。そもそも英語⇨日本語に即時変換できる単語量が少ないのです。
例えば、
- Apple: 瞬時に「りんご」と訳すことができる
- Antidote: 「解毒剤」と訳すのに数秒かかる
後者に当てはまるものばかりだと、当然セリフをすんなりと理解することはできないですよね。
したがって、途中でひっかからないだけの豊富な語彙力を身につけることが字幕なしを実現するのに必要だということです。
セリフのスピードが速すぎると感じたら、スピード慣れの訓練をする
リスニング力不足の他にも、セリフを聞き取れない原因があります。
それは、単純に映画のセリフのスピードが速いからです。
役回りによっては話すスピードが速くなることがあります。探偵役や医師役だとそれが顕著です。
ネイティブが本気だすと歯が立たなくて思考が停止する......。
そうだよね......。BBCのシャーロックホームズっていうドラマを観たときについていけない(泣)って思ったよ。
しかも、映画だとセリフに感情が乗っているので、なおさら聞き取りづらいんです...。
じゃあ、映画のスピード感についていくにはどんな勉強をしたらいいのかな?
映画のスピード感に慣れるには、
短い動画を"1.5倍~1.75倍"の速さで聞いてスピードに慣れる方法をおススメします。
最初は速く感じますが、徐々にそのスピードにも慣れていきます。
元のスピードに戻したときには、「あれ、こんなに遅かったっけ?」と拍子抜けするほどに。
ポイントは短い動画を選ぶこと!
スピードをあげてもちゃんと分かるレベルの動画を選びましょう。慣れてきたら難易度をあげてもOKです。
まとめ
映画を字幕なしで理解するのに必要な英語力は、テストでは測ることはできません。
聞き取れない理由に合わせて、地道に訓練して聞き取れるように努力していくことが大切です。
セリフを聞き取れない3つの理由
- 単語の意味は知っているけれど、音が聞きとれない
- "音"は聞きとれるけれど、単語の意味を知らない
- 単語の意味を知らず、音も聞きとれない
成果が出るまでは時間がかかりますが、努力は裏切らないです。字幕なしで映画を観られるように頑張りましょう!